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理性をガルマン星雲の果てに蹴り飛ばして

2010年08月09日 22:30

■無敵の純潔 -Dull and Gloomy-
8月6日(金曜)の午前9時過ぎ。
おニューの眼鏡を手に入れ上司らしくキリッと眉間にしわを寄せ、眼光鋭く眼鏡のレンズに蛍光灯の灯りを白く反射させつつ、PCの画面を睨みつけながら仕事に取り掛かる。そして先月に専務が言ってた事務所のニューマシンのパーツがなかなか届かない事に、「困るんだよねぇ、そーゆーいい加減な事ではさ。明日から事務所の改装が始まると言うのに、ごった返しているそんなところにポコポコとパーツを届けられて、後で"アレがない!"だの"コレが壊れてる!"なんて事にでもなったら、本社のおエライさん達はどうしてくれるんだろうねぇ?それにワタクシ自身がわざわざ自宅に戻って自ら発送を手がけたVK60001W2Zも、なぜかなかなか届かない。一体、世の中どうなってるんだろうねぇ?君はどう思う?ショットガン君」と、一昨日の晩にフクロにされ未だ黒ずみ腫れの引かない歪んだ顔を晒しながら、エラソーな言葉を吐いたりしてみた。 
 
 
しかし今朝は何の反応も返してくれず、年甲斐も無く"寂し"なんて感じたり。
脳内CPUをフル稼働させて昨日の朝から今朝までの記憶を思い返し、ショットガンに何かやらかしてないか確認してみた。すると5日の晩の、娘が懐かなくなってしまった"小さな事件"の真相についてブログ上でゲロってしまった件が脳裏を過り、ひょっとしてそれを見てお怒りに?と不安を覚え、ついでに今朝方のショットガンが何か物言いたげな寂しそうな表情で出社してきた事も思い出してしまって、おいらは震え上がった。
「ねえ、何かあったの?」と、恐る恐る問い掛けつつ横を振り向くと、すぐ目の前にショットガンの顔がどアップで映った。「うおっ!?」思わず後ずさりするおいら。ショットガンはすぐ真横でおいらの机に両肘をついて、その上に顔を乗せた状態でこっちを見ていた。
-うーん・・・ぷりちぃで柔かそうなお口。
そんなヤラシー事を考えながらも、おいらの心の中に湧いてきた"ドスケベヘンタイ中年"の虫を理性で強引に引っ込めて、「おまえさあ、そんな可愛い顔を中年親父の顔の真横に持ってくるなよ。想定外の事故が起きても知らねーぞ」と言ってみたが、ショットガンは肘を突いた両手に顔を乗せたまま、小さく「はぁ」と溜息をつくだけだった。

"なんぢゃこいつ?月のアレでお仕事やる気ナッシング??"
そんな事を考えつつ物憂げな表情のショットガンの顔をジッと見てたいら、おいらの方が照れて顔が赤くなってしまった。いくら結婚してるとはいえまだまだ若過ぎる23歳。おまけに顔も良ければ身長が低いけどスラッとしていて、出るところもちゃんと出ているグッドなスタイルつまり、チョベリグ(死語)なうら若き女性がすぐ隣で物憂げな表情でこっちを眺めていたら、誰だって ♪(´ε`*)☆チュッ な状況を思い浮かべるはず、そうだろ?どうなのよ?。
頭の中で煩悩と理性が格闘を繰り広げる中、おいらが顔を赤らめショットガンの物憂げな顔を眺めていると、ショットガンが口を開いた。
シ:べるさん。あの、ですね・・・
べ:うい?
ショットガンの甘い声にカルク照れ、更に顔が赤らむのを感じて視線をちょっと下にズラしたら、ショットガンが身に纏っているブラウスの間からチラッとブラが見えた。"むほほのほ~"と一瞬エロ心に火が点きそうになったが、突如いつものショットガンが降臨して「どこ見てるんですかっ!」と怒鳴られたじろいだ。


しかしショットガンは振り上げかけた右手を降ろし、再び物憂げな表情に変わって元の両肘ついた格好に戻った。今日の小娘さんは一体どうしたと言うのだろう?
シ:ねえ、べるさん。
べ:はい、何でしょうか?お嬢様。
シ:わたし、明日から沖縄旅行に出かけますが・・・。
べ:たまには羽目を外して、初めての沖縄を思いっきりダンス、ダンスでエンジョイプレイ!
シ:・・・・・・?
べ:なんでもございませぬ。さあ、話をお続けになって!
シ:その間、べるさんは事務所に1人になってしまいますね。
べ:改装工事で汗臭いおっさん・にーちゃんがワンサカやって来るようですよ?
シ:べるさんは、1人で寂しくならないんですか?
べ:どうでしょうかねぇ。
シ:1週間、1人きりですよ?
べ:寂しいのかな?ツルピタ呼び出して相手してもらうから無問題。けど、
べ:(ドス黒く腫れ歪んだ顔で眼鏡をクイッと弄ってカッコつけ)君の笑顔が見れなくなるのは寂しいさ。

シ:そういうの、全然似合ってませんよ。
べ:・・・へい。・・・姉さん、何時に無く今日はクールでやんすね。
シ:とにかく、わたし
べ:あい。
シ:べるさんを1人にしてしまって申し訳ないと思ってるんです。
べ:初めての沖縄旅行なんでしょ?あっしの事は気になさらず、羽を伸ばしてきておくんなせぇ。
シ:もう!どうしていつも、そういうフザケタ態度ができるんですか!
べ:モジ(((*´ε` *)(* ´З`*)))モジ 照れ隠しってやつでさぁ!
-ばすっ!・・・っ!っ!!(23歳の小娘に後頭部をドツカレ、悶絶するヘンタイエロおやぢ)
べ:・・・ごめんなさい、真面目に生れ変りました。
シ:とにかく、毎日時間を見つけてべるさんの携帯にメール送りますね。
シ:なので、お1人にしちゃって申し訳ありませんが、お仕事頑張って下さい。
べ:はい。ありがとうございます。がんばるです。
そして二人の間に暫く沈黙が続いたが、おいらはその沈黙を切り裂き口を開いた。「はあ?おまえ何言ってんの?バカじゃないのか!ホントにもう!沖縄の海でサメに呑まれちまえよっ!!」と言い放った。


そんな言葉には負けじと純潔魂溢れ過ぎなショットガンは、「またバカって言った!どうしてそんなに口が悪いんですか!」と、猛反撃に打って出てきた。
「何言ってるんだよ!新婚旅行も行けてない、おまえは沖縄に行った事が無い、そこで旦那が提案して沖縄旅行を計画したんだろ?そんな旅行の真っ最中に上司に気遣ってメールをちまちま送るとか、そんな事の前にやっとの新婚旅行と初めての沖縄と初めてのウチでの連休を、思いっきり謳歌してこんかいっ!!」おいらは声を荒げて更に言い放ったが、「事務所に1人きりにしてしまうべるさんのことを心配してるんですよ!」とショットガンはまたしても一歩も引かない姿勢のまま猛反論。
その直後、ビルの警備員が突然ドアを開け「何かトラブル?」と聞いてきて、双方互いに次弾を砲身に装填したまま戦闘は一時休止状態に。
が、警備員の足音が廊下の突き当たりの階段を下っていくのを双方が確認すると、事務所内は再び喚き合いの戦火に包まれ、おいらが「だから、な、そんなメール貰ってもな、う・れ・し・く・な・い・ん・だ・よ・っ・!」と言って手榴弾を投げ込むと、それを膨れっ面のショットガンが「どうして、べるさんを心配するわたしの気持ちをわかってくれないんですかっ!」と大きな声で投げ返してきた。

虚しい言い争いはすぐに膠着状態となり、二人は負けん気だけで暫くの間睨み合っていた。
おいらは「ふぅー」と息を吐いて「よく考えろよ?逆の立場で旦那が旅行中にどっかヨソの女にちょくちょくメールを送っていたら、おまえどう感じるよ?どう考えるよ?」と冷静に問いかけてみると、ショットガンは何か言いかけて口を噤んだ。
そんなショットガンをジッと見据えておいらは言葉を続け、「せっかくの連休なんだし、沖縄旅行をちゃんと楽しんでこいよ。自分の時間を満喫し、旦那と共有する特別な時間をちゃんとしっかり過して、連休明けに日に焼けた顔でいつものようにちゃんと出社してきてくれたら、その方がおれは嬉しいよ。ついでに言うと自分の時間をちゃんと過すってコトは、誰でも普通にやってる事だぞ。夕方にカフェで怒ったり笑ったりしてる時のように、沖縄旅行で自分の時間の過し方ってのも勉強してこい。その件でわからない事や疑問に感じる事が出てきたら、思っている事を正直に出して旦那に相談すること。んで、帰ってきたら笑顔で土産話でも聞かせてくれ。な?」と話すと、ショットガンは「わかりました」と小さな声で返してきた。


そして落ち込んでしまったのか、ショットガンは自分の席に戻ると俯いて何も喋らなくなってしまった。
「おいおい、そんな不貞腐れた顔のまま明日沖縄に飛ぶのかよ?」呆れて言ってみたが、ショットガンはシュンとしたまんま。おいらは「う~む」と唸ると、「お嬢様、実は先ほどほんのちょっとだけブラが見えてしまいましたよ」と両手を構えながら言ってみたが、ショットガンは「はぁー・・・」溜息をつくだけ。
ンート・・・σ( ̄、 ̄=)・・・。
そんなショットガンを眺めつつ、自分の椅子に腰掛け"ぐにょ~ん"と思いっきり背もたれを倒してもたれると、もう1度ショットガンの方に目をやって"どうしちゃったんだろ?"と考えこんだ。



■故郷から段ボール箱 -The Casket-
8月5日(木曜)の午前7時過ぎ。
ホテルのレストランで朝食を終え、部屋に戻ると同時に内線が鳴った。受話器を取って出てみると、昨晩のおいらの帰りが遅くて渡せなかった荷物を預かっているとのこと。出社の準備に取り掛かりたかったおいらは「申し訳ないけど、ちょっと部屋まで運んでくりっ」とお願いし、数分後にホテルの係員が120サイズくらいの段ボール箱を持ってきてくれた。そしてついでにおいらのボコボコに腫れて歪んだ顔を目にして「ゎ!」と驚いていやがった。けっ。
"なんじゃこれ?"と思いつつ開封してみてビックリ。
ラックに収まりきらなくなったCDを詰め込んで、自宅の自分の部屋の隅に置きっ放しにしておいた段ボール箱だった。

20100806_blog_01
箱の中には、平井堅、DOUBLE、Chara、大黒摩季、m-flo、JUDY AND MARY、the brilliant green、LOVE PSYCHEDELICO、EGO-WRAPPIN'、PUFFY、稲垣潤一、REBECCA、久保田利伸、角松敏生、Dragon Ash、Sade、Jamiroquai、CHEMISTRY、宇多田ヒカル、ザ・イエロー・モンキー、bird、バンプ・オブ・チキン、SOUL HEAD、STING、U2、OASIS、Do As Infinity、SOLD'd OUT、MONDO GROSSO等等MAXIを含めておよそ80枚ほどもあった。


てか、なぜ今そんな物が、一体誰が送りつけてきやがったと伝票を見て腰が砕けた。
またウチの親父である。勝手に人の部屋に入り込んで、何の目的があってこんな物をわざわざ送りつけてきやがったのかと段ボール箱の中を引っ掻き回してみたら、小さな付箋紙がCDに貼り付けてあって、そこには「部屋を掃除してやった。不要な物なら自分で処分しろ」と書かれてあった。
絶対に予定より早く、オマエを墓石の下に埋めちゃるっっ!!
そんな物騒な事を心に誓ったりしてみたが、そんな冗談はさておいて、ショットガンにちょっと聞かせてやるべぇと、2枚のCDを引っ張り出した。

20100806_blog_042枚の内の1枚は、the brilliant greenの"Los Angeles"。
2001年1月1日にリリースされたアルバムで、まだSMEIのDefSTAR RECORDSに所属していた頃の作品。もうあと半年も経たずにリリース後10年を迎える。
個人的にはそんな歳月を感じさせないほどのアルバムだと思っており、特に"angel song -イヴの鐘-"と"Hello Another Way -それぞれの場所-"の2曲が良い。おいらの感性を受け継いでしまった娘もその2曲がお気に。
"Hello Another Way -それぞれの場所-"の出だし「yesterday, 月光の彼方に浮かれて」が詩人過ぎてスバラシイ!と感じているのはおいらだけでしょうか?そして、果たしてショットガンは気にってくれるのであろうか?



20100806_blog_05そして残りの1枚はJUDY AND MARYの"POP LIFE"。
こちらのリリースは1998年の6月24日で、既にリリース後10年を超えてしまっている作品。彼らが苦心の末に完成させ発表したアルバム。
"ミュージックファイター"のPVを初めて目にした時こんな曲を出してくるとはと、かなり驚いた覚えがあり、次の"イロトリドリ ノ セカイ"は個人的に"クラシック"よりか綺麗な曲だと感じ、"散歩道"の楽曲と歌詞の良さに感動した。そんなおいらのジュディマリの中のお気に入りは、別アルバム"THE POWER SORCE"のオープニングとエンディングに収められたロック色が濃い"BIRTHDAY SONG"と"The Great Escape"、それにYUKIの伸びのあるVocalが生かされた"くじら12号"。"POP LIFE"に収められている曲は殆どがお気に入り。娘は"BIRTHDAY SONG"は五月蝿いかな?と生意気な事を言っていた(笑。





■無敵の純潔 Part2 -Nightingale and Gekkonidae-
8月5日(木曜)の午前9時前頃。
セカンドバッグの中にCDを押し込み意気揚々とホテルを出たものの、裸眼視力0.2に乱視持ちのおいらはすれ違う人々の影に目が回ってゲロゲロしそうになりながらも、何とか事務所に辿り着いた。先に事務所に入っていたショットガンに「おはよ!」と挨拶した瞬間、おいらの顔を見たショットガンは慌てふためいた。
「べるさん!どうしたんですか!?血が出てますよ!」ショットガンはそう言うや否やロッカーの中から救急箱を取ってきて、殴られて皮膚が裂け血が滲んでるところを消毒液を染込ませたガーゼで拭いてくれた。そんな優しいところに感動してるとショットガンの髪のリンスの残り香を吸い込んでしまって、おいらは天を仰ぐと天国のジーサン・バーサンに"おれもう理性をブン投げちゃってもいいかなっ!?"なんて聞いてみたけど、天井からは小さな埃が落ちてきただけで雲の上のジーサン・バーサンは何も答えてくれなかった。まあ、当たり前だけど。

血を拭きながらショットガンが「ホントにどうしたんですか?」と聞いてきた。
「眼鏡を落として壊しちゃって視力低すぎて何にも見えなくなったところで、階段から滑り落ちたのさ」と答えた。ショットガンは腑に落ちないような顔をしていたが、助けに入って返り討ち喰らったなんてコトは口が裂けても言えね(恥。
礼を言ったついでに「古いCDだけど、聞いてみない?」と聞いてみたら、ショットガンは首を縦に振りながら「聞く」と即答してきたので、ちょっと仕事をサボって2枚のCDを聞き入った。聞き終えたショットガンは、"イロトリドリ ノ セカイ"と"散歩道"、"angel song -イブの鐘-"と"Hello Another Way -それぞれの場所-"の4曲が気に入ったみたいで、特にブリグリの曲は歌詞が知りたくて聞き入ってしまうと結構喜んでいた。
まだまだ聞きたそうな顔をしているショットガンにブリグリのCDを渡し、「沖縄から帰ってきてからでもいいし別にもっと後でも構わないけど、自分の借りたその手で必ず返せよ」と言っておいた。
沖縄に行ったら箍が外れて帰って来なくなってしまった、なんてコトが無いようにと思ったからだが、ショットガンに限ってそんな事ある訳無いと思いつつも、人間何がキッカケでどう転ぶかわかんないしな、なんて考えたり。


仕事に戻ったショットガンに、「昼休みに眼鏡買いに、ちょっと外出するからよろしくね」と伝えた。
するとショットガンは思いっきり困った顔になって、「事務所に1人なんて無理です」とか「1人は嫌なんです。嫌嫌っ!!」とノタマワって、「真昼間の明るい時間だし、取引先や本社から電話が入るかも知れないし」と留守番をお願いしても、「嫌嫌」言うばかりで埒が明かない。
結局二人で外出する事にしたが、眼鏡屋の近くのアイスクーム屋か何かで時間潰してねと言っておいたのに、眼鏡の調整をして貰っている時に"どんな塩梅?"と鏡を覘いたら、鏡の中に眼鏡屋のウィンドーにへばり付いて様子を伺っているショットガンの姿が映った。「あんにゃろ!って、そんなに思いっきり顔をくっつけたらメイク取れちゃうぞ」と、ショットガンの姿に笑ってしまった。
ヤモリじゃあるまいし、いい年齢の大人の女性がウィンドーなんぞにへばり付いてんじゃねーよ!と叱ってみたが、ショットガンはクスクス笑って「べるさん、とっても緊張した顔しよったよ」と言い、またクスクスと笑った。「おれの緊張した顔の何がそんなに面白いの?」と聞いてみたが、そんな事を聞くだけでクスクスとまた笑いやがる。一体、なんなん?

20100806_blog_09
ペ様(w)のCMで有名な眼鏡市場で眼鏡を購入。
予めネットでどんなフレームがあるのか見ておいたのに、おいらがソソったフレームは「他店舗から取り寄せになります」と言われて超ブルーに・・・。結局、地元の眼鏡市場で買った、顔から吹っ飛ばされてクチャクチャに壊れてしまったフレームと同じものをお買い上げするという、悲惨な結末に(泣。
尚、核爆弾の様なおいらの素顔はお見せ出来ません!眼鏡単体の画像をお楽しみくだされ。ちなみに眼鏡を買い替え店から出てきたおいらの顔を嬉しそうに眺めたショットガンは、数秒後に思いっきりがっかりした表情に変わって「顔の変わらんけん。つまらん」とヌカしておりました。




■無敵のエロス -Unnecessary Reunion-
8月5日(木曜)の午後18時過ぎ。
ショットガンと二人で何時ものカフェに入って、何時もの二人きりのお茶会を開く。原因がわからないが元気無さげに静かにケーキと紅茶を口に運ぶそんなショットガンの顔を、おいらは紅茶を啜りながら眺めていた。
すると突然、テーブルの上に誰かがアイスティーをコトンと置いて、「やっち見つけたと」とか言いつつ見知らぬ女性が空いてる席に腰を下ろした。"誰?"と思いつつショットガンの顔を見たが、ショットガンの知り合いでもなさそう。その女性はちょっとムッチリしていて、ショットガンとは対照的にミニタイトにハイヒールというイデタチで、ちょっとエッチな雰囲気を醸し出していた。
ショットガンが「どなたやか?」と、その見慣れない女性に尋ねると、その女性はおいらとショットガンを一瞥して、おいらに向き直るといきなり「彼女?」と聞いてきた。その態度にちょっと苛つきを感じて「お宅、誰だよ?こっちが先にどなた様なのか聞いているのに答えもしないで、大事な部下を指してそんな質問投げやがって、ちょっと失礼だろ?」と言うと、おいらの顔をじっと見て「覚えないと?」と、また何も答えずに聞いてきた。

ムカっときてショットガンの肩を叩いて立ち上がると、その女性は「ねぇ、ほらこれ、落し物」と言って夕べ何処かで落としてしまったおいらの財布をテーブルの上に置いた。
一瞬ギョッとしたが、きっとどこかで財布を拾ってくれて中の名刺でも見てここら界隈を探してくれたのだろうと考え、「ありがとう。礼は言うけどさっきの態度は失礼すぎるし、おれらは河岸を変えるから後は1人で御自由に」と伝え、ショットガンの肩を押してさっさと会計を済ませてカフェを後にしようとした。
すぐに背後から「ちょー待って!ほんとに覚えやないと?」という先ほどの女性の声が聞こえ、おいらは振り返ってもう1度文句を言ってやろうとしたが、彼女の左頬が薄っすらと赤黒くなっている事に気がついて、そのままちょっとエッチに見える彼女の右頬を見つめた。
彼女は「夕べはおおきに!ありがとね。おかげで助かったけん」と口走っておいらは青くなり、そんなおいらの顔を見つめ返してニッコリ微笑むと、「ごめんね、気分壊した?うちあん時ん、ほら」と言って自分の左頬を指差した。
おいらはダッシュでテーブルに戻ると「君、ホントに夕べの?男に囲まれて女性(ひと)?」と聞くと、ちょっとエッチに見えるその女性はまたまたニコッと微笑み「そうたい」と答えた。


ウェイトレスにダージリンとアールグレイを再び1つずつオーダーし、ショットガンを呼び戻すと2人並んでテーブルに着いた。
そしておいらは路傍の石となり、テーブルの上に頭を横に乗せて死んでいた。
ショットガンが怪訝そうな顔をしていると、ちょっとエッチに見える女性が「夕べね、助けてもろうたんよ」と言った。ショットガンは"あ、なるほど"という顔をしたが、「"助けた"んじゃなくて、結果としておれが"助けてもらった"んだよ」と、テーブルの上に顔を乗せたまま補足しておいた。
ショットガンはおいらを見て「なして?ウソついたと?」と、想像していた通りに聞いてきた。
おいらは昨夜のことを正直に話し、そして「右足の親指の捻挫と直前に口にした缶ビールでちょっと酔っていて、踏ん張りが利かなかったってのもあったかも知れないけど・・・自分から助けに飛び込んだのにボッコボコに返り討ち喰らってさ、おれ、1発しか返せなかったし、カッコ悪すぎて話せるワケないだろ。後悔したくないっと思って飛び込んだけど、終わってみたらイジイジと後悔しまくりだったし。はは」と、相変わらずテーブルの上に顔を乗せたまま、少し言い訳めいたような言葉を付け加えて力無く笑った。

黙って聞いていたショットガンはニッコリ微笑むとテーブルの上に転がっているおいらの頭に手を伸ばして「えらい(大変)よくがんばりましたと」と言って頭を撫でた。
突然の出来事に自分の顔が物凄い勢いで真っ赤になっていくのを察知し、ガバッと頭を起こすと真っ赤な顔のまま「子供じゃねーし!頭撫でるな!」とちっちゃく照れを誤魔化した。それを見ていたちょっとエッチに見える女性が「正直やねぇ、やけんちょっと弱すぎとよ」と言ってきたので、今度はそっちを睨みつけ「うっさい!」と返した。が、ちょっとエッチに見える女性は「あはは」と楽しげに笑っていた。
人見知りする上にこのテのタイプが特に苦手なおいらは、"早く消えてくれ~"なんて失礼な事を考えていたら、そんな思いが通じてしまったのか、ちょっとエッチに見える女性は「ちょっと買い物したいけん、失礼すると。またね」と言って自分の会計を済ませてサッサと何処かに消えてしまった。その直後に今度はショットガンが、「そろそろ旦那が帰ってくる時間なので、何時もありがとうございます。綺麗な人でしたね。バイバイ」と言って、会計は当然おいら持ちと言わんばかりにサッサと私鉄の駅方面に消えていった。
「"またね"なんて永久に要らんし、"綺麗"も糞も、おれはあんな女知らね~よ」おいらは二人が消えた後でそんな独り言を呟いていた。


無駄に賑やかだったテーブルはおいらは1人になって静まり返ってしまい、おいらは何気に外の喧騒を眺めていた。
するといつものウェイトレスが笑いながらこっちに来て、「今日どげんしたと?同伴者豪華やったねぇ」と言ってまた笑った。「どこが豪華なの?人見知り男にああいうタイプの女性はキッツイよ」おいらはセカンドバッグに丸めて入れておいたPC関連の雑誌を取り出しながらそう答え、「夕飯も食ってくよ」と言ってハイネッケンと先日にその味とボリュームに満足した"アボガドと大きなエビとふわふわ卵のクラブサンド"をオーダーした。
雑誌をパラパラやりながらサンドウィッチにかぶり付いていて、ふと思った。
ネットで知り合い今年でおよそ10年の付合いになる親友がいるが、結構スマートに所謂"浮気"というモノもサラッとこなすしちゃうヤツで、"ショットガンにしろさっきのちょっとエッチに見える女性にしろ、ウマイ事まとめちゃうんだろうな、ちょっと羨ましいかな"なんて事を考えていたら、頭にスコッと伝票鋏が突き刺さった。振り返ると、いつものウェイトレスが「デザートのモンブランとアールグレイは、うちん奢りたい」と言って伝票を差し出した。

"なんで?"と思ってウェイトレスの顔を見ていると、いつものウェイトレスはクルッとおいらに背を向け「話しは聞いたばい。ボロボロにされても立ち向かう、そいが男たい」と言葉を残して奥のカウンターの方に戻っていった。
"なんか勘違いしてねーか?"そんな事を思いながら、サンドウィッチを頬張っていると、ドタバタ慌てふためいてさっきのちょっとエッチに見える女性が戻ってきた。息を荒げて店内を見渡す姿を確認すると、"うわっ!?"と思いつつ雑誌で顔を隠し、ちょっとエッチな女性の方に背中を向けた。が、数秒後においらのすぐ後ろで「あ~いたいた。良かったとー」と言う声が聞こえ、振り返るとおいらのすぐ目の前にちょっとエッチに見える女性の顔があった。
「うわわわわ!何すかっっ!?!?」
おいらが焦って裏返った声で聞くと、ちょっとエッチに見える女性は「お兄さんの名刺を1枚貰ったから、代わりにうちん名刺1枚置いてくけん。またね」と言ってテーブルの上に1枚の名刺を置くと、ニコッと笑ってカフェから出て行った。そんな彼女を今度はこっちが慌てて追いかけ、「あーちょっとちょっと!"またね"は要らん!それに君の名刺も要らないから、おれの名刺返せよっ!返せーーっ!!こんにゃろっ!ドロボーーーっ!!!」と、カフェの入り口で叫んだ。


ちょっとエッチに見える女性はかなりの俊足で、あっという間に人ごみの中に消えていった。
おいらが自分のテーブルに戻ろうとカフェの中に入ると、いつものウェイトレスが前に立ちはだかって、
「大声出さないでって言うてるやろう!店先でも大声張り上げて、営業妨害じゃなかとっ!!」
ウェイトレスはモノスゲー勢いで怒ってお盆を両手で振り上げると、そのままおいらの頭に「ばがんっ!」と振り下ろして「デザートの代金も貰うけんね!」と言って、カフェの奥へと戻っていった。がっくし。
おいらは肩を落として"さっきのちょっとエッチに見える女に2度と会わずに済みますように"と、天国のジーサン・バーサンにお願いしたが、天井の明かりに目がくらんだ蚊が一匹、ふらふらとサンドウィッチの上に落ちてきて、再びガックリと肩を落とした。



■無敵の純潔 Part3 -to The Great Escape-
時間は元に進んで8月6日(金曜)の午前10時半過ぎ。
「ちょっと時間早いけど、今日は外でランチにしようぜ」ショットガンが喜ぶかと思って声をかけてみたが、こっちを見てニコニコっと微笑んで頷いただけだった。"なんだよ、さっきよりも悪化してるんじゃねーの?"なんて考えながらもショットガンを後ろに従えカルガモ親子の行進ヨロシク通りをテクテクと歩いた。汗を掻きつつ1時間ちょっとウロ付き歩いてやっと目的のカフェ・バーに辿り着くと、2Fの海が見渡せる横並びのテーブル席に二人並んで腰を落ち着けて、ランチセットの"なすとベーコンのトマトパスタ"とデザートにガトーショコラとキャラメルフローズンをオーダーし、ランチを楽しむ事にした。
波に光が反射して、色トリドリに輝いて見える博多湾の風景を眺めながら、二人のランチタイムの時間は静かに流れた。
「たまにはこんなトコロで昼飯食うのも悪くないよね。景色が良いな~、福岡の海の景色もなかなかだよね」おいらがそんな話しても、ショットガンは頷くだけだった。

しかし「海が綺麗だな」と言っても頷くだけ。
何をまた捻くれてんだ?と思いつつ「沖縄の海はもっと綺麗だぞ。楽しんでこいよ」と声をかけても、ショットガンは目も合わさずに頷くだけで、ランチメニューとデザートを片付け終えると同時においらはキレて、「少し1人で頭を冷やして、頭の中が落ち着いたら帰って来い!」と怒鳴って、伝票を手に取るとサッサと会計を済ませ1人で事務所に戻った。カフェの2Fから1Fのレジに降りる時に、背後で小さく「べるさん」と呼ぶような声が聞こえたが、"今更知らん"と置いてきた。
おいらが事務所に戻って2時間ほど過ぎたところでショットガンが帰ってきた。
事務所に入ってくると、そのままおいらの席の後ろにやって来きて黙って立っているようで、PCのアナログモニターに何か言いたげだけど俯いたまま立っているショットガンの姿が映った。
知らん顔を決め込んでキーボードを叩いていると、背後から「ごめんなさい。すいませんでした」と言うショットガンの声が聞こえてきた。無視してそのまま仕事を続けながらモニターに映るショットガンに目をやると、「べるさん、ごめんなさい、ホントにごめんなさい」ショットガンが震える声でもう1度謝ってきた。


「んだよ?人の話には目も合わさず知らん顔しやがる癖に、自分が用がある時は聞いてくださいってか?おれの事をそんな都合の良い人間だと思ってんの?ふざけんなよ。自分の感情ばっかり優先しやがって、何時までも甘ったれてんじゃないよ」モニターに映るショットガンに向かって怒った。
ショットガンは俯いたまま言葉を返さないので、背中を向けたまま左手で隣の自分の席に座るよう指示して座らせた。引き出しの中からタオルを引っ張り出し、それを投げて渡して「今日は一体どうしたんだよ?何をそんなに捻くれてんだよ?」と聞いてみた。ショットガンはタオルで顔を隠してボソボソと喋りだした。「事務所に1人になるのは嫌だといつも我侭ばかりを言ってごめんなさい。明日から1週間事務所に1人になるべるさんの事を考えたら、無理に有休まで貰って申し訳ないと思ったんです。そんな事を考えていたら気分が沈んできて・・・夕べの女の人の事を思い出して、そうしたら更に気分が落ち込んできちゃったんです・・・」って、
・・・はあΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)??

「・・・・・・何言い出すんだ?・・・おめーはよ」
魂が抜けちゃうくらい呆れ返って言うと、「だって、綺麗な人やったとよ」とショットガンは言ってきたが、「亭主持ちの人妻ねーちゃんが何を言い出すんだよ・・・おまえは旦那のコトだけ考えとけばいいの!そもそも、なんで夕べのねーちゃんが出てくるのか知らんけどさ、おれはあーゆーイケイケタイプは苦手なんだよ!これでもおれは人見知りするって知ってるだろ?」と言い放つと、ショットガンはいつもの顔に戻って「そうと?」と鳩が豆鉄砲喰らったような顔しやがった。
「なんだよなんだよその顔は!そんな顔するのはおれのほーだろうが!どんだけ心配して気を遣ったと思ってんだよ。もう沖縄でも火星でもガルマン星雲でもどこでもいいからさ、さっさと飛んで行っちまえよ!んとにもう」呆れ果ててそう言うと、「ガルマン星雲って、どこやか?」とショットガンが真顔で聞いてくるので、「地の果て」と言ってやったら消しゴムを投げつけられた。


その後すっかり機嫌が元に戻ったショットガンは、ブリグリの曲を口ずさみながら仕事をしていた。
逆においらはスッカリやる気が無くなって、コソコソとゲームポータルサイトにアクセスして麻雀やスロットゲームなんかで遊んでサボっていた。"あんなしょーもないコトに振り回されて、おれバカみたいじゃん"そんな事を考えながらご機嫌に鼻歌を口ずさんでいる小娘の顔を睨んだ。おいらの視線に気がついたショットガンは「どうかしましたか?」と言いつつも、まだ鼻歌を口ずさんでいる。「ご機嫌麗しそうで、爺も満足です」嫌味を込めて言葉を返したが、ショットガンは「うふふ」と楽しげに仕事をこなしていた。
その内時刻は定時の17時45分を過ぎ、ショットガンが「べるさん、それではご迷惑をお掛けしますが、来週1週間よろしくお願いします」と言って帰宅するため事務所を出ようとしていた。「お疲れ様!まあ、楽しんできて」と挨拶を返すと、「メールか電話入れますね」と言葉を残して事務所のドアを閉めて帰っていった。
しかしおいらは傍と気がつき、まだ事務所前に通じる廊下を歩いているショットガンの背後から「だから、電話とかメールは要らんと言ってるだろうが!」と叫んだ。

ショットガンは廊下の向こうで振り返って「1度や2度くらいなら大丈夫ですよね?」と言ってきたので、「おれに言葉や文字を送る時間があるなら、その時間を旦那との会話の時間に使えよ!」そう叫んだら、「言葉や文字じゃなければ良いんですか?」と聞いてきた。
「そう!旦那と遅い新婚旅行を兼ねた旅に出るのに、わざわざしゃべったり文字を叩いて大切な時間を浪費する必要ないねんっ!わかったなっ!?」喉を枯らしながらもっかい叫んだら、ショットガンは「わかったけん。お先に失礼します」と言って笑顔で廊下の向こうの階段に消えていった。
「さーてと」明日からの改装工事に備えて、自分で運び出せる機器を臨時事務所に動かしておこうと腰を上げた。
デスクトップPCのデータを外付けHDDにバックアップしていると、事務所のドアがそぉ~っと開いてショットガンが中を覗いた。「なんじゃおまえ?何してんの?」と言うと、ショットガンは「べるさん、夕べの綺麗な人に興味なかと?」と、またうっとーしー事を聞いてきた。おいらはPCの画面に視線を戻して「興味ナッシング」とボソッと言うと、「本当に?本当ですか?」とシツコク聞いてくる。


「興味ないったらないの!シツコイんだよっ!はよ帰れ!小娘っ!!」と、怒って手近にあった物を手に掴むと、ドアに向けて投げつけてやった。ショットガンは「きゃ~っ」とか言って逃げていった。ふぇっふぇっふぇっ、ザマミロ!。
"ふん"と思いつつ再びPCの画面に視線を戻したら、タスクバーの右隅に"大容量デバイスが取外されました"とか何とか書かれたバルーンが表示されていて、"あれ?"と思ったらUSB接続していた外付けHDDの姿が消えていた。
「・・・!」
事務所のドアの方に目をやると、ドア近辺の床にバラバラになったHDDケースと基盤とACケーブル、それからケースから飛び出したHDD本体やらネジやらが転がっていた。
ショットガンを置き去りにしてカフェから戻る途中、たまたま入った量販店で1万7千円もの大枚を自腹切って購入したIO DATAのHDC-EU2.0Kは、買ったその日にバラバラ死体に成り果ててしまった。ああ、泣きたい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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