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居心地の良い小さな世界 -that should be loved-

2010年08月11日 23:30

■風雨と夫婦の弾幕と忘れ物
恩実8月10日(火曜)の午前7時頃。
"めざましテレビ"の天気予報を眺めていたら、昨日8月9日に台湾から南東側約400Km周辺の海上で発生した台風4号"ディアンムー"が現在、ゆっくりと東シナ海を北上中と流れていた。明日11日は韓国に上陸する見込みとの予報が発表され、併せて明日から明後日の早朝深夜にかけては九州北部を掠めるように通過するようで、福岡に出張ってきて初めての台風接近遭遇に結構ドッキドキなおいら。
沖縄でバカンスを楽しんでいるショットガン夫婦が、今朝あたりのディアンムーの強風に夫婦揃って吹っ飛ばされたりしてはいないかと、ちょっと心配になったり。ちなみにショットガンは泳げない(カナヅチw)らしく、小っこい身体に浮き輪なんて付けていたら、"さぞかし豪快に吹き飛ばされてっちゃうんだろうな"なんて考えてしまい、そんな絵を想像したら笑えてきた(悪。
 
 
取敢えずは空手バカ(ショットガンの旦那)の携帯を鳴らし、沖縄の様子を聞いてみる事にした。
携帯は何事も無く繋がって「台風どう?」と聞こうとしたその言葉を、あの空手バカは思いっきり遮って「いや~、風と波が凄くて魚や海草が飛んでくるばい!今は朝のバイキング料理を食べ過ぎて腹の調子が大変ばい!沖縄のバイキング料理はおis・・・プッ、プー、プー・・・」一方的に喋り捲る旦那がうっとーしかったので、こっちから掛けた通話だったが何も喋らずにプッチリ携帯を切った。すると、心の中がなぜかスッキリと。
"あの様子なら心配する必要も無いだろ"なんて思っていたら、ショットガンから携帯に着信が入った。
出てみると「べるさん!どうしてわたしの携帯に着信を入れてくれなかったんですか!?もうっ!わたしの携帯のほうに電話kak・・・プッ、プー、プー・・・」朝っぱらからヤヤコシー会話をしてくんなや!と、こっちもプッチリ叩き切って、"執念のリダイヤルで連続着信入れられても困るしな"と考え、ソッコーで携帯の電源を落としてやったぜ。ふん、なぜか心の中は更にスッキリしてしまい、ザマミロなんて思ったり。

そして颯爽とスーツの上着を身に纏うと、ニヤッと不敵な笑いを浮かべながら事務所が入っているビルへと出掛けた。
事務所の改装+拡張工事の現場を監視しつつ、本社総務の余計なお節介で臨時福岡事務所なる部屋が出来てしまい、お仕事に精を出さなければいけなくなってしまったのである。たまたま同じビル1Fにある警備員室の隣の小さな部屋が空いていて、「部屋があったら仕事を中断しなくて済むしね」という総務部長の余計な鶴の一声でその部屋の一時的借り上げが決まってしまい、お仕事しなければいけなくなってしまったのよ。
「全くもう、総務部長のヤローったら余計な気を回してさー、臨時事務所なんて要らねーんだよ。工事現場の監視だけでノンビリ出来ると思っていたのにさー。んとにもー」ぶつぶつと独り言を呟きながらも不敵な笑みは収まらない。既にかなり飽き気味ではあるものの、改装工事の1日目に面白いものを見つけちゃったし!「今日もカルク苛めて暇をつぶすべ!」そんな事を口走りつつ、ホテルを後にした。


ホテルの中に特大の荷物を残したまま、忘れて気がつきもせずにおいらは出社してしまった。



■逆襲の7年殺し
8月7日(土曜)の午前8時前。
改装を請け負った工事関係者一同が、8時半には全員揃って作業に取り掛かる1日目。
作業前に形式だけの挨拶を交わすことになっていたので、いつもより1時間以上早く出社。顔を引きつらせながら工事のおっさん・にーちゃん達1人1人と握手を交わして「よろしくお願いします」と挨拶をし、「臨時事務所の冷蔵庫の中に冷たい飲み物を用意してあるので、勝手に飲んで下さい」と伝える。そんな中、工事のにーちゃん1名が目を合わさない様にしていたのが気になって、嫌味たらしく時折現場をうろついてみると、やっぱりおいらの視線を避けるように、コソコソした動作をしやがる。
ウチの本社の過去の経験から、総務の指示で今回の改装工事にあたって現場天井に多数の監視カメラが備え付けてあった。臨時事務所の中で自分で用意した昼飯のサンドウィッチを頬張りながら、その監視カメラの映像を通してにーちゃんの様子を窺ったりしていた。

20100809_bl-blog_01西鉄ストアで購入した食材を使って、サンドウィッチを作ってみた。
コッペパンのサンドウィッチとハチミツソースをかけたヨーグルト(ブルガリアのパックの1/2を使用)。それとかなり濃い目のティーオーレを淹れて愛用のカップに注いだもの。画像には無いが他にバナナを2本。
まるでダイエットに励む中年おばばの食事みたいな内容。
工事のおっさんが冷蔵庫に入れて冷やしておいた午後の紅茶を取りに来たついでにおいらのメニューを見て一言「にーちゃん、そげなもん食っとったら死んじゃうぞ」って、死ぬかよww


20100809_bl-blog_02サンドウィッチの中身を激写。
西鉄ストアの野菜売り場で入手したトマトをスライスしたものと、惣菜売り場で「買ってって~」とおばばに抱きつかれてストアの買い物カゴの中に入れてしまったポテトサラダ。他に乳製品コーナーで見つけたクリームチーズを塗り塗り塗りこんだ。
上の蓋となる切れ端の裏面の黒いのは、カビではなくてソースでございます。
食べ終わってから思い出したが、他に生ハムも挿もうと買っておいたのに忘却の彼方へ。高かったのに。残念、しくしく。



そして、ジーっと監視カメラの画像を覗き込んでいて気がついた。もっと早くに気づくべきだった。
無言で5Fの改装現場に駆け上がり、コソコソとおいらから視線を外し捲っていたにーちゃんの背後にしゃがみ込むと、昔懐かしの"ざ・7年殺し"を「どおりゃあ~っ!」と渾身の力を込めてぶちカマした。「いっでーーっ!」と叫び声をあげ、ケツを抱えて飛び跳ねる薄茶眼鏡(以下、この不届き者の事を"薄茶眼鏡"と記載)の背後を取って、ヤツの右手を左手で掴んで後ろに捩じ上げ、右手でヤツの首を思いっきり締め上げながら、薄茶眼鏡の耳元にやさーしく囁やいた。
「この間はボロ雑巾のようにしてくれちゃって、ドウモアリガトウ


コイツは忘れもしない先日の晩の、ちょっとエッチに見える女性にカラんでいやがった男共の中の1人なのである。
振り向き様にトンデモナイ1発を見舞ってくれた男の左隣にいたヤツで、気が弱いのか殴ってはこなかったが、他の3人の影からコソコソとキッツイ蹴りを何発も喰らわせてくれたヤツなのである。「1度目に焼き付けちゃった顔は忘れないよ。それに顔のカタチまで変えてくれちゃってさ」そう囁くと、ビクッと身体を震わせた。他のおっさん・にーちゃんが「なんだなんだ」という雰囲気で取り囲む中、「世間って意外と狭いよねー?今から病院に駆け込んでこの間やってくれた怪我の診断書を貰ったら、そのままケーサツに届けを出しちゃおっかな~?」首を締め上げたままそう囁くと、薄茶眼鏡は「すまん!さあせんでしたあ!」と苦しげに叫んだ。
薄茶眼鏡の首を締め上げたまま、現場の監督に「ちょっとコイツ借りるよ」と伝えて、薄茶眼鏡の背中を蹴り込み臨時事務所の中に押し込めた。

「先に気がついておいて、コソコソしやがるから逆に目立つんだよ」
凄んで言い放つと薄茶眼鏡は再び「さあせんです!」と謝ってきたが、「貴様らがカラんだあの時の女性本人に謝れやっ!」再び言い放ち、そして"ケーサツ"という言葉をちらつかせつつ、あの夜の他の仲間の名前と携帯番号・連絡先を丁寧に教えて貰った。ついでに薄茶眼鏡の名前と携帯番号諸々聞いてみたら、このアホは36歳にして妻と男児1名と女児2名の妻子持ちの旦那であり、あの夜は仲間とナンパしようと声をかけたら冷たく断られたので、ちょっかいを出して虐めていたと話した。"あのねーちゃんは気が強そうだから、なんとなくわかるがな"と思いつつこの間の仕返しとばかりにブッ飛ばそうとしたが、そこはグッと堪えて「後で病院に寄って診断書は書いてもらうからな」と言ってその言葉を保険代わりに「2度とこの間の女にカラむなよ。おまえも妻子がいて娘持ちなんだから少しは考えて行動しろよ」と言って現場に返した。
薄茶眼鏡は階段を駆け上がりながらも途中で何度も止まってこっちを振り返り、「さあせんでした」と頭を下げていた。


怒りつつも今日の"棚から牡丹餅"的な偶然の出来事は、都合が良いと思った。
ちなみに他の3名もアラフォー手前のいい歳した社会人で、信じらんない事に全員が妻子持ち。おいらは薄茶眼鏡に書かせたメモを眺めながら、「おやぢリーマンをなめんなよ。ちょっとセコイやり方だが、残りのオマエ等も全員死刑!」と呟き携帯のダイヤルボタンをピッピコ鳴らした。んでどうーしたかと言うと、3名それぞれの勤め先の代表番号に電話をかけて呼び出してもらい、大声で"ケーサツ"という言葉を挟んで喚いてやったら、3名の不届き者はそれぞれ「周りに聞こえるし、ちょー待ってくれぇー」と慌てふためき結果、「さあせんでした!」と謝ってきて多分、一件落着。
これで今後、ちょっとエッチに見える女性もこのアホ共にカラまれる事も無かろうと思って、電話を切った。おまけに改装工事の間ずっと薄茶眼鏡を虐めて遊べそうだし、退屈しなくて済みそうだわい。あっひゃっひゃっ(極悪。
そんな愉快な事を考えつつ、仕事に戻った。 
 
 
 
■受難のツルピタ
昨日8月9日(月曜)の午前11時前頃。
ここ数日、暇を見つけては薄茶眼鏡をからかって遊んでいたが、少し飽きてきて「ああ、なんだか退屈じゃのう」自分一人しかいない臨時事務所の中で、誰かに聞かせるでもなく独り言を呟いて、"おれってひょっとして、頭のどこかで寂しいなんて感じちゃってるのであろうか?そもそも、あの小娘には甘えてんじゃねえ!とかエラソーなコトを言ってる癖に、自分の方が甘えちゃってるんではなかろうか?"そんな事をぐるぐると頭の中で考えている内に苛々してしまい、頭の中を切り替えようと思った。
そしたら先週土曜で連休が終わったハズのツルピタが、1度も顔を見せに来ていない事を思いだした。"何してんだ?アイツ"と思ってヤツの携帯を鳴らしてみると、出たと思ったら切りやがる。にゃろう!と思って不屈の精神でリダイヤルし捲ってみたが、オール1ギリ!「なんでやねん!」と叫んだら、以前ヤツの留守電に悪戯メッセージを残したことも思い出した。

「ひょっとしてその件で、まだお怒り中なのか?しょーがねーな~」
なんて言いながらツルピタの勤め先の番号にかけてみたら、ヤツのアシスタントの真理ちゃんが電話を取った。ツルピタはいないの?と聞いてみたら、行方を眩ませてますとのお返事。ニヤリ。
べ:ねえねえ真理ちゃん。ヤツの身体の秘密って知ってる?
真:え?何ですか?それ。
べ:えっ!? 知らないの?あーあ、可哀想に。
真:何ですか?なんか怖いんですけど。
べ:伝染するかも知れないし・・・口止めされてるから、今、ハッキリとは公表出来ないんだけどね。
真:えー!? 何ですか?伝染するって、病気なんですか?
べ:ま、本人に確認してみて。
真:え!ちょっとべるさん!
べ:ではまた!ばいばいきーん。
真:あのー、べるさん?ねえっ!べるさんっ!?
べ:プッ、プーッ、プーッ・・・


懲りもせずに、またまた悪戯を仕込んで電話を切っちゃったよ。
関係の無い真理ちゃんを驚かせて申し訳ないなとは思いつつも、悪戯を仕込んでおけば今夜あたりにいつものカフェにすっ飛んで現れてくれるだろうと考えながら、「今日はいつものカフェでランチ食べよっと」と言ってカフェへと出掛け、そしていつものウェイトレスに「今日は一人なん?いい男が寂しかねぇ。あはは」なんて言われてからかわれた。



■交差し融解する結界
8月9日(月曜)の18時過ぎ。
ツルピタ来るかな~?」と毎度の独り言を呟きながら、いつものカフェへと向かった。カフェで生ハムとルッコラのペペロンチーノパスタとハイネッケンを注文し、パスタをちゅるちゅると口に入れつつVAIOを立ち上げて改装工事立会いのレポートを叩いていると、「いつもの娘はどげんしたとぉ~?」という声が聞こえて、4人がけのテーブルの正面に私服姿のいつものウェイトレス(以下、夏美さんなので"夏姉"と記載)が腰を下ろした。
"私服姿なんて珍しい"なんて思いながら「いつもの小娘さんは有休使って1週間の沖縄旅行に行ってるよ」と答えて「今日はどしたの?」と聞いてみたら、夏姉は「今日は早番ばい」と言い、「いつもの娘がいないと寂しいやろう?」と聞いてきた。VAIOの液晶に視線を戻して「別に」と答えると、夏姉が「寂しいって顔してるちゃ」と言って、こっちを見て笑っていた。

ちょっとムッときて夏姉の顔を睨んでいると、「あー、いたいた!」という大きな声が聞こえてきた。
ちょっとエッチに見える例の女性(以下、梨絵さんだけど"モンロー"と記載)までやって来て、左手側の席に腰を下ろした。「嬉しそうな顔して何しに来たんだよ」なんて冷たい言葉をかけてみたら、モンローが「うちを避けてない?」と聞いてきたので「お見事!正解!」と答えたら、「んもーっ!」と大きな声を出してハンドバッグをテーブルに叩き付けた。その衝撃でパスタのナイフとフォークが床に落ち、「カランカラーン」と音を上げた。
「相変わらずケタタマしいよな」そう言ってカウンターにナイフとフォークの代わりを取りに行こうとしたら夏姉が笑いながら、「私が取りに行くけん。座ってて」と言って持って来てくれた。
無言でパスタをちゅるちゅる口に運んでいたら、モンローが「いつものあの娘はおらんと?その顔もどげんしたと?」と聞いてきた。「なーんで二人とも同じ事を聞いてくるのかね?部下は有休で1週間のバカンスに行ってるし、おれの顔は腫れて歪んではいるけどいつもと変わらんよ」そう答えたら、モンローは「なーんか、寂しそうに見えるちゃ」と言ってきた。


パスタを片付けるとトイレに行って鏡に自分の顔を映して見たが、いつもと何ら変りの無い事を確認するとテーブルに戻り、「いつもと変わりないけど、二人しておちょくってる?」と聞いてみた。二人は口裏を合わせたかのように「そーかいな~?」と、笑いながら言ってた。
「そーかいな~って、何だよ」と言ってハイネッケンのグラスを口に近づけたら、背後で突然「こらあーっ!きさーんっ!」と言うツルピタの叫び声が響き、ドカッ!と頭を小突かれた。そして、傾いたグラスからハイネッケンがビシャッと零れて落ちた。
数秒後、テーブルの上でハイネッケンの直撃を受けたVAIOは、液晶が真っ暗になって完全に沈黙してしまい、後ろを振り返るとツルピタが真っ青になって、「ごめん、ノートPCが置いてあったなんて気がつかなかったとよ」と言って俯いてしまった。「ツルピタ!」そう叫んでツルピタの前に立ち上がると、ツルピタはビビって両腕で頭をかばったが、おいらはツルピタの右手を握って握手をすると「久し振り!おれ寂しかったよ」と、ついつい本音を口走ってしまった。おいらの後ろでは夏姉モンローの二人が「ほらぁ、やっぱり寂しかったんねぇ」と声を揃えてそう言った。

空いてる最後の1席にツルピタを座らせた。
フクロにされた事を知らないツルピタは、「きさん、その顔どげんしたとお!?」と驚いて聞いてきた。「こちらがいつものウェイトレスのおネーさんの夏姉さんで、こっちがモンローさん。数日前の晩にモンローが男に絡まれててさ、助けに飛び込んだら返り討ち喰らって逆にボッコボコにされちゃったんだよ。で、情けない名誉の勲章さ」そう教えると、ツルピタは「よか男になりよったって」と言って笑った。
「そっか?お前をからかい過ぎて、天罰が下ったのかも知れないけどな」と返すと、ツルピタは突然真顔になって「あっ!思い出したばい!きさん!会社の真理ちゃんに変な事言ったろー!」と言って怒り出した。おいらは笑いながら「だって、何回携帯鳴らしてもワンギリするし、真理ちゃんに聞いたら行方を眩ましたって言ってたから、ついつい」と言い訳を返すと、夏姉とモンローが「なんて言ったたい?」と聞いてきた。ツルピタは真っ青な顔を真っ赤に変えて「トイレで大を出してる最中に携帯出らるーか!部屋に戻ったら皆から"病気なん?"っち聞かれてえらいやったんだぞっ!」と、更に声を張り上げて怒った。


おいらは更に笑いながら、「コイツのアシスタントの真理ちゃんって女の子に、ツルピタの身体の秘密知ってるか?伝染するかもよ?って、それだけ話してサッサと電話を切ったのさ」と教えたら、夏姉とモンローは大笑いしてた。
ツルピタは立ち上がると「そげん笑う事なかやろおおお!」と雄叫びを上げてカフェのオーナーから怒られ、おいら達3人は笑ってみていた。



■愛すべき居心地の良い小さな世界
怒られたツルピタがお騒ぎOKな良い店を知っていると言うので、4人でタクシーに乗って移動。
しかしツルピタが"良い店"と言っていた呑み屋はショットガン夫婦と酒を呑んだあの呑み屋で、大将に「久し振りっす」と挨拶していたらツルピタが驚き、「なんで?知っとうと?」と聞いてきた。「フッフッフッ、この店はショットガンの旦那のお気にの呑み屋。旦那と二人で何回も来てるし、ショットガンと三人でも来た事があるのだよ」と教えると、「まじですかいっ!? おい、1度も会った事の無かぞー!」と、ツルピタは謎に悔しがり、そして芋焼酎を手に4人で色んな事を話してツルピタのカツラを取り上げフザケたりして一緒に笑って、話の流れとはいえ酒を囲んで騒げる相手が出来てしまって、ちょっと楽しかったり。
それと同時に、先ほどカフェのトイレの鏡に映して見た自分の顔の事を思い返していた。アルコールが入って顔色こそ発色が良かったがあの時の自分の顔は、随分昔、ヨメが5ヶ月目の愛娘を抱え上げて半狂乱になって部屋から飛び出しどこかに消えてしまった、そんな頃の絶望の淵に立たされた様な、能面を被って表情と生気を隠したような顔をしていた。

なぜそんな事になってしまったのかについてはまた別の機会に。
「いつもと変わりない」と夏姉とモンローに嘘を言った訳は、知り合ってまだ間もない二人に、顔に出てしまっていた自分の内面の一部を気づかれ指摘された様な気がして、恥ずかしかったから。そして勝手に娘のように接していたショットガンが、たった1週間離れるだけなのに心のどこかで"寂しさ"を感じてしまって、あの頃と同じ顔をしていた自分に"やっぱり甘えているのは自分の方だ"と痛感して、自分の稚拙さと情けなさに腹が立ってきた。
1人で勝手に唸っていたら、「今から友達。また一緒に呑みましょ、ね?」芋焼酎で頬を赤く染めた夏姉が、おいらとツルピタにちょっと色っぽい笑顔で言ってくれた。夏姉の色っぽい笑顔の大人の女の色香に一瞬クラっとし掛けたが、"いかん、いかん"と愛娘の顔を思い浮かべて強引に煩悩を引っ込めていると、すぐ横で既に出来上がりかけのツルピタが「おう!みんな友達た~い!」と上機嫌で叫び、おいらの頭の中に「キーン」と物凄い耳鳴りが発生した。


「おまえは変なねーちゃんに金を巻き上げられたり、この間も離婚迫られてウチの事務所で暴れやがって、あんま変な気起こすなよ!」
ちょっとキツメに言ってやったら、ツルピタはシュンとして静かになった。ここで出遅れ気味のモンローが「うちも、うちも!友達!ねえ、うち友達おらんし、お願い」と言ったかと思ったら、酔った勢いで今度は泣き出した。モンローは父子家庭で甘やかされて育ったせいか、自分の思い通りにならないとすぐに暴れる、まさに"漢勝り"な性格につき納得してみたり。ちなみにツルピタは母子家庭、夏姉は大学に進学した頃に両親が離婚して、父親と母親が今どこにいるのか知らないと言っていた。
"不幸な大人の寄り合い所かよ?"どうして自分の周りにはそんな連中が集まってくるのだろうと、コッソリと溜息を吐いた。
泣いているモンローの右手を取って握手をして「友達な」と言ってやったらモンローはすぐに泣き止み、そしてツルピタと夏姉とも握手して同じように「友達」と伝えた。出来上がりかけのツルピタは「そうたい、そうたい!おいとお前は友達だ!」と言って笑っていたが、夏姉は「なして握手?」と聞いてきた。

「んーと、実はね・・・」
勤め先が最近立ち上げた福岡事務所の担当ではあるが、本当は管理する側の人間であり、何れ名古屋の本社に戻らなければならず、実の娘との約束もあるので遅くても2年後には必ずこの地を去る事と、代わりにいつもの小娘を福岡事務所の長として職務を果たせるまでに育て上げ、小娘と自分の友人でもある旦那との間にいつ子供を授かっても安心して産休を取る事が出来るように福岡事務所の体制も整える事が自分の仕事で、それを成し得たらそれが例え1ヵ月後の話しであろうと、その時点で本社に戻る事になると話して聞かせ、「頻繁には来れないけど、こっちに顔を出した時には一緒に芋焼酎のグラスを傾ける、その約束の握手」と伝えた。
「なんや、うちん手を握りたかったのかと思ったんにぃ」と、夏姉はウマイ事を言ってニコッと微笑んだ。「次はいつもの小娘と彼女の旦那も入れて、6人で一緒にお願いするよ」そうお願いしているおいらの背後から、「べる!きさん、また戻っちまうんか~!」と、出来上がりかけから完全に出来上がりモードに移行してしまったツルピタが叫んでカラんできた。


「わりい、何れそうなるとおm・・・」答えてる最中に、ツルピタが殴りかかってきた。
「おれを喜ばせておいてぇ!なんばい!」そう叫び、ツルピタは泥酔した右手をフラフラと振り出した。その手を両手で捕まえて、「ごめん、でも必ず顔出すし。それにショットガンの事も心配だし、絶対にまた来るから」そう諭してみたが、ツルピタは「せからしかっ!」と言って泣き出してしまった。「いい年齢のおっさんが泣くなよ」苦笑いでツルピタを椅子に座らせていたら、モンローが「あの娘はべるさん何なん?」と聞いてきた。
「ま、色々と・・・きっとおれをテストしてくれている、大事な部下で友達の嫁さんで且つ、友達で娘のような存在」そう話すと、モンローは「ふーん」と言って顔を横に向けた。そんなモンローの横顔を見て土曜の偶然の出来事を思い出し、「あ、そうだ。この間君にカラんできてた連中さ、あいつらもう来ないと思うから」と教えてやると、「どして?」と聞いてくるので「内緒」と答えておいた。モンローは「もー!教えてか!」と怒り出したので、大将にタクシーを3台呼んで貰って「ツルピタはおれが送るから」と夏姉に伝え、「今夜は解散。二人とも気をつけて帰ってくれ。じゃまた、カフェで」と、挨拶もそこそこにソソクサとタクシーに乗り込み逃げ帰った。

「べる~、せからしかー、がっかりやけん・・・くそぉ・・・」
タクシーに揺られ、寝言を小さく呟いている酔い潰れたツルピタのスーツの内ポケットから、携帯を拝借してツルピタの自宅に電話を入れると、ますはコヤツの奥様にツルピタの外泊許可を頂いて、次に自分が宿泊しているホテルに電話を入れて頼みに頼み込んで空き部屋を1つ押さえた。


会社がある日突然に福岡に立ち上げた新事務所の話を専務から初めて聞かされた時、"何を血迷ってんだ"なんて思ったりもしたが、専務の罠に見事にハマッて自分が担当することになってしまい、「暫くの間だけだから」と言われて嫌々日本列島の西の端近くのこの地に出張ってきてみたら、自分と自分の周りの一握りの他人も自身を曝け出して泣いて笑って怒ってみたり、意外と楽しくてわざわざ出張ってきて良かったその甲斐があったな、なんて思ってみたり。
専務の思惑なのか果たまた何かの偶然の賜物なのかはわからないが、少し前にショットガンに叱って教えたとおりに、自分に与えられた今のこの時間を楽しんでみようと思った。日本列島のあちこちに友人・知人との小さな世界を構築してきたが、西の端近くに初めて構築した友人と自分の小さな世界も居心地が良く、大事にしていきたい。なんてな!

そんな事を考えながら、セカンドバッグの中から取り出した水性マーカーのキャップを「ポン」と捻って外すと、タクシーのシートの上で酔い潰れて眠りこけているツルピタの上目蓋に、パッチリとした愛くるしい目なんかをカラーでリアルに書き込んじゃったりして。
自分の傑作を見返してみたら、思いっきり声を殺して笑いこけてしまった。


「気をつけよう 知らないおやぢと暗闇のべる@SiDOOH」



■続・受難のツルピタ
8月10日(月曜)の午後12時過ぎ。
ビールをかぶって昇天してしまったVAIOの代役に、家電量販店まで出向いて買ってきたレッツノート"CF-S9JYEPDR"を弄りつつ、コンビニ弁当をつついていた。ホントはVAIOか東芝の最上位ノートPCが欲しかったが、夏期休暇で信州に遊びに出ていた本社の総務次長の携帯を鳴らし、「実は急に雨に降られてVAIOが昇天」なんてホラ貝を「ぷぉ~っ!」と吹いてみたら、「防滴仕様のレッツノートにしなされ」と命令されてしまって泣く泣く画面の小っこいレッツノートになってしまった。しかもこのCF-S9JYEPDR、なんと今年の春モデルの売れ残りだったにも拘らず、安く買い叩けるかと思いきや予備のバッテリーパックやら増設RAMモジュールなんかのオプションをついでに購入してみたら、カルク20万の大台を超えやがった。
-こりゃあ、後で総務から天誅喰らいそうだ。


そんな事を考えながら、「キーが叩き辛えええ!」と雄叫びを上げつつ弄っていた。
すると携帯が"Dr.スランプ アレレちゃん"のテーマを奏でたので出てみると、ツルピタは今日も何やら怒っていた。
ツ:目が覚めたら見知らぬ部屋にいて、たまがっ・・・いや、ビックリした!
ツ:オマエの寝泊りしとるホテルやろおおお?
べ:あっ!
ツ:なして起こしとってくれなかったんだあああっ!!
ツ:大事な会議に遅刻したばいっ!
べ:ごめん、ごめん。すっかり忘れてたよ。わはは。
ツ:笑っちるんじゃなかあああああっ!!!
べ:でも、大変だったんだぞ。泥酔して泣くわ、人の顔を殴ろうとするわ・・・。
ツ:はえ!?
べ:"はえ"じゃねーんだよ。挙句、寝ちまって、そんな状態で帰したら奥さんも大変だろうと思ってさー。
べ:おまえの自宅に電話入れて、奥さんにおまえの外泊許可を貰ってだな・・・。

ツ:よ、よ、嫁と・・・話したばいと?
べ:したよ?
ツ:きさーん!おれの嫁に手ば出すんじゃなかあああああっっ!!!!
べ:何言ってんだ?おめーはよ!失礼なヤツだなっ!!
ツ:え?
べ:"え?"じゃねーよ、ハゲ!
ツ:たしかにハゲとるけんど・・・。
べ:んで、夜の夜中におれが宿泊してるホテルにも電話を入れてだな。
べ:無理に無理をお願いして、おまえのために空き部屋1つ借りたんじゃっ!
べ:しかも、ウチの経費でだぞ。事務所の機材を壊した金も払わないおまえのために!
ツ:す、すまん。
べ:そんだけ?
ツ:う、うん、そいだけ。
べ:じゃ、また。あ、暇があったらいつものカフェに顔出せよ?
ツ:わかった。
べ:ばい!


しかし、小1時間ほど経った頃に再びツルピタから着信が入った。
べ:どったの?
ツ:きさんっ!
ツ:飯屋んおばちゃんがおれの顔ば見て笑うけん、変だと思っち・・・。
べ:うん。
ツ:トイレに入って鏡ば見てまたたま・・・いや、またビックリしたばいっ!
べ:なんで?
ツ:目蓋に目の落書きしてからに・・・オマエん仕業やろおおおおおっっ!!!
べ:あっ。
ツ:真理ちゃんやら周りの連中が笑うけん、おかしいっち思っとったんだ!
べ:ぎゃはは。
ツ:笑っちるんじゃなかあああっ!なしていっつも悪戯するっ!?
べ:ごめ・・・笑いが・・・く、苦しい・・・切るね・・・ぶははっ!
ツ:おい、こらっ!おまえー!きさーーん!!、きsa・・・。
べ:プッ、プーッ、プーッ・・・

笑いが止まらなくなってしまったおいらは、定時まで悶絶しながら仕事をこなした。
夕飯を摂りにいつものカフェに入り、サンドウィッチをパクつきながら夏姉とモンローの二人にツルピタに悪戯した話を聞かせ、三人で大爆笑していた。するとそこへ息を切らしたツルピタが現れて、スーツの上着のポケットから極太の油性マーカーを取り出すと、キャップを外して「きさんような怨霊は退散んんっ!」と叫びつつおいらに真っ直ぐ向かってきた。
-ちょっ!こらこらっ!ここで暴れると夏姉にぶっ飛ばされるってば!おーい!!
ツルピタと揉み合うように暴れていると、やっぱり夏姉が吼えるのであった。

店の中で騒がないでって、いつも言ってるやろう!大概にしときい!
そしておいらとツルピタは、豪腕の夏姉に思いっきりお盆で張り飛ばされたのであった。合掌。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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